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北里大学病院  ( 彼の思い出 )

いつのお正月だったか、地元の北里大学病院の前を車で通ったら

病院で亡くなった方を乗せた車が1台、ひっそりと病院の門から出てきました。

とても寒い日で通りはひっそりしていました。

お正月ですから車もほとんどなく、その時の情景がなぜか印象に残りました。

 

それから2か月位経って、脳の手術を受けた父の受診に付き添い

北里大学病院に行った時のことです。

大勢の患者さんが行き交う外来の廊下で父のお世話をして下さった

看護師さんに出くわし、立ち話をした後ふと彼の事を聞きました。

 

彼とは、ICUに1か月居た父が手術をして一般病棟にやっと移れた時

お隣にいた27歳の脳腫瘍を患っている方でした。

 

18歳で発病し、入退院を繰り返してきたそうです。

彼のお母さんは高額な入院費を払うのにお一人で大変そうでした。

「入院生活が長く食事に飽きてしまうので、いろんなふりかけをかけるのよ」と

ベッド脇の引き出しに入った沢山のふりかけの小袋を見せてくれました。

 

父のベットはお隣どうしだったので私も彼と他愛もない事をよく話しました。

彼は早く治して働いて、お母さんに楽させてあげたいと言っていました。

私はなぜか、涙を彼に気づかれないようにしました。

 

そんな彼のことを思い出し看護師さんに聞くと

「あの若い方はお正月初めに亡くなられた」と告げられました。

 

この時、この世に神などいないんだなと思いました。

何も悪い事などしていない彼が、どうしてこんな仕打ちを受けるのか。

 

私は直感的に、お正月に私の車の前に入ってきたのは彼を

のせた車だと思いました。

でもこの世での修行が終わり、天国からお母さんのことを見守って

いるのかなと、今はそう思ってます。

 

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コメント: 4
  • #1

    塩一番 (火曜日, 20 9月 2016 06:44)

    おはようございます。今、うちの親戚の女の子が病名は違いますがとても辛い病気を患っているので共感してしまいました…彼女はだいぶ回復のめどがたっているようですが初めてその事を聞いた時、ショックで悔しくて涙が出そうでした。彼は、優しい優しい精神年齢の高い青年だったのですね。洋子さんも彼の事が愛おしかったでしょう。とても御辛かったでしょう…::お母様の事、見守っていらっしゃると私も思います。

  • #2

    洋子 (火曜日, 20 9月 2016 09:09)

    そうでしたか。女の子さん、良くなられるといいですね。病は辛いです。そして塩さまは優しい人だから、お相手の辛さをとても感じてしまうのですね。
    彼は普段微熱があり、気分の悪さにも耐えおうちの心配もしていたと思います。本当に耐えていた。
    彼の悲しみに比べたら、少しばかりの苦労はたいした事ではないと私は思っています。
    そうですね。愛情をいっぱいくれたお母さんに感謝されているでしょうね。
    いつもコメントどうもありがとうございます。m(__)m

  • #3

    sachiko4832 (木曜日, 22 9月 2016 18:03)

    こんばんは。私の父は昨年不調を訴え、年明けに脳梗塞予防の心臓バイパス手術をし、今は薬をあれこれ飲みながらですが、無事に過ごしております。洋子さんのお父様、お元気でしょうか。
    彼のことは本当にやるせない気持ちになりますよね。10代20代と闘病生活が続き、どれほど苦しく、辛く、そして悔しい思いをしたて来たのかと…。優しい彼は天国からお母さまを見守っていらっしゃることと私も思います。

  • #4

    洋子 (火曜日, 27 9月 2016 21:41)

    sachikoさま、お返事大変おそくなり申し訳ございません。<m(__)m>
    よく体の不調は「頑張り過ぎだよ」と教えてくれているようなものだと聞きますので
    少しゆっくりされるといいですね。お父様、お大事になさって下さいね。
    彼は脳の手術も何回もされて、大変だったと思います。でもお話すると純真な人でした。
    純真な人は心に残っております。
    メール返信遅くなりすみません。御覧頂ければと思います。(*^^*)