量子計算機、製造費安い「半導体方式」浮上 日本の新興が実機投入へ Woman in Love♪

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2019年に世界で初めてスパコンの能力を超越したとグーグルが発表し話題になった量子コンピュータですが、本日は、2025年12月1日に日経電子版に掲載された記事「量子計算機、製造費安い「半導体方式」浮上 日本の新興が実機投入へ」をご紹介します。

 

今回注目する量子コンピュータは、集積回路に広く使われている半導体を常温で使用する量子計算機です。

なので、製造コストは安く消費電力も少ないなど注目を集めているようです。

記事によると、日本の新興企業blueqat(ブルーキャット、東京・渋谷)が2026年の商用機投入を計画しているようですが、欧米が実機開発では先行しているようです。

 

詳しい話は、日経電子版の記事をご覧下さい。 

 

 量子計算機、製造費安い「半導体方式」浮上 日本の新興が実機投入へ

 

サイエンス

2025年12月1日 5:00[会員限定記事]

 

様々な方式が開発を競う量子コンピューターの中で「半導体方式」と呼ばれるマシンがにわかに存在感を高めている。シリコン半導体と共通する技術で量子ビットを形成でき、制御回路を含めたワンチップ化も視野に入る。超電導方式のような大型の冷却装置が不要で、製造コストも抑えられる。量子コンピューター関連事業を手がけるblueqat(ブルーキャット、東京・渋谷)が2026年の商用機投入を計画するなど、国内勢の動きも活発だ。

 

blueqatの半導体量子コンピューターのモックアップ

 

10月に千葉市で開かれた量子コンピューターの産業展示会。ブルーキャットが展示した半導体量子コンピューターの実物大模型が注目を集めた。10月10日に会場内で講演した同社最高経営責任者(CEO)の湊雄一郎氏は、半導体方式の実機を12月の半導体展示会「セミコン・ジャパン」で公開し、26年から企業などへの導入を働きかけると表明した。

 

会場には、ビジュアルテクノロジー(東京・台東)が今年輸入を始めたアイルランドEqual1社製の商用半導体量子コンピューター「Bell-1」も紹介された。6量子ビットを備える同機は高さ1.6メートル、幅60センチ、奥行き1メートルと、データセンターなどのサーバーラックに近いコンパクトなサイズだ。消費電力は1600ワットでオフィスの電源でも使える。

 

半導体量子コンピューターは、シリコン材料で作った「量子ドット」と呼ばれる微細構造に電子を1個ずつ閉じ込め、閉じ込めた電子のスピン状態(磁気的な向き)を量子ビットとして使う方式だ。この電子の量子的な状態を制御することで計算を進める。

 

制御方法の違いで3つの方式に分かれる。単一電子のスピンをマイクロ波で回転させる「マイクロ波制御」、電子2つのペア状態(シングレット・トリプレット)を使う「ST方式」、電子3つの相対的なスピン状態を利用する「エクスチェンジオンリー(EO)方式」だ。

 

ST方式とEO方式はマイクロ波ではなく、スピン同士の結びつきに由来する交換相互作用を活用する。ST方式が電子にかかる磁場の強弱差を併用して操作するのに対し、EO方式は交換相互作用だけで論理操作が可能で、電圧パルスのオン・オフによるデジタル制御で動かせるのが特徴だ。

 

半導体量子コンピューターは、超電導、イオントラップ、中性原子、光量子と並ぶ有力方式で、従来はマイクロ波制御が中心だった。近年はST方式やEO方式の研究が進み、CMOS(相補性金属酸化膜半導体)技術による高集積化や制御系の小型化が期待できることから、各国で半導体方式への関心が急速に高まりつつある。

 

このうちST方式は2020年前後から、オランダ・デルフト工科大学、米ハーバード大学、豪ニューサウスウェールズ大学などで研究が進展。またEO方式は米インテルが2023年に商用化方針を打ち出したことで注目が集まった。デルフト工科大学発のスタートアップもEO方式を含むシリコンスピン量子ビット技術の商用化に乗り出しており、EO方式の研究機運は国際的に広がりつつある。

 

ブルーキャットのマシンもEO方式を採用する。湊CEOは「焦点はインテルの動きだが、同社は半導体量子チップを内製化するなど、EOを含むスピン量子ビット技術を社外に開示しない傾向が強い。日本でも独自にEO方式の商用化を進める必要があると判断し、自社開発に踏み切った」と話す。

 

量子コンピューターは量子ビットが外部ノイズの影響を受けやすいという課題があるが、EO方式は3つのスピンの相対的な状態に情報を符号化するため、超電導方式などに比べて磁場ノイズに対しては強いという特徴がある。物理量子ビットそのものの耐性が高いため、将来的に量子誤り訂正に必要な物理量子ビットの数を抑えられる可能性がある。

 

また、量子ビットを制御する低周波電圧パルスはCMOS回路で直接生成できるため、将来的には制御回路を量子ビットと同じチップ上に集積できる点も半導体方式の強みだ。冷却装置の規模も超電導方式と比べ大幅に小型化できる。ブルーキャットは、システム全体の価格を超電導方式の10分の1程度に抑えられる可能性があるとみている。同社は当初6量子ビットのマシンでスタートし、来年以降段階的に量子ビット数を増やす計画だ。

 

量子ビット数では、超電導方式や中性原子方式のトップ企業がそれぞれ1000量子ビットを超えるシステムを発表。イオントラップ方式では米クオンティニュアム社が、100個程度の比較的少ない量子ビットながら高精度の商用マシンを手がけている。

 

半導体量子コンピューターは量子ビット数こそまだ小規模だが、「枯れた技術」ともいえる半導体プロセスを流用できることから、低コスト・量産化に向いた独自の強みを持つ。この開発戦略が本格的なゲームチェンジにつながるかどうか、今後数年で方向性が見えてきそうだ。

 

(客員編集委員 吉川和輝)

 

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