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調湿性能の高いセルロースファイバー断熱施工で通気層が必要? スケルトンズ♪

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先日、床下にセルロースファイバーを吹き込むお仕事を頂いたのですが、床下に20㎝程の空間があり、その下はコンクリートでした。この現場は通気層の必要性を考察する良い機会を私に与えてくれました。

 

住宅建築に精通されたお施主様は、床下最下部のコンクリート面から約10㎝の高さまで通気層を確保してその上に55㎏/㎥の密度で10㎝厚のセルロースファイバーを吹き込むよう指示されました。

 

そのために、床下のコンクリート面から10㎝と20㎝の高さに不織布を2重に張り、その隙間にセルロースファイバーを吹き込みました。手間暇をかけて断熱施工するのがモットーですが、何かしっくりしませんでした。

 

とういのも、通気層によって空気の流れが生じるからです。断熱施工をする際は、湿った空気が温度差の冷たい側に押し寄せて結露しないようにするために、ひごろから「空気の流れを殺す」ことが重要だと思っていたからです。

 

一般的な家屋では、壁の中に貼ったグラスウールやロックウールなど調湿性能の低い断熱材が結露で濡れないように、また濡れても乾燥するように断熱材の室外側に通気層を設けています。

 

にもかかわらず、通気層を設けた家でもジメジメ湿った北側の外壁などに苔が発生したり、結露を吸ったグラスウールの水分が内壁にしみ込んで壁の色が変色することがあります(写真⓪)。

建築関係者さんに聴くと、リフォームや解体する時に外壁内のグラスウールがカビで真っ黒になっていることがよくあるそうです。

 

日当たりの良い南面の壁であれば壁の温度が高いので通気層で運ばれてくる微弱な風でも湿ったグラスウールを乾燥させるのに役立つかもしれませんが、冷房で室内側から冷やされた北側の通気層内は温度が低いので通気層で運ばれた夏の湿った空気で逆に結露することが考えられます。

 

ましてセルロースファイバは、水換算で自重の13%もの水蒸気を調湿できるので、通気層を無くして空気の流れを殺せば余裕をもって過剰な結露を防止することができます。

ですから、北側壁などで結露を促進する可能性のある通気層は、セルロースファイバでお家を断熱すれば不要どころか、危険な通気層は設けない方が良いと思います。

 

なので私だったら、床下の通気層を設けずに20㎝の床下空間いっぱいに空気を沢山含んだフカフカのセルロースファイバーを25㎏/㎥の密度で吹き込むかなぁ~と思います。

 

余談ですが、通気層を無くす場合は特に無垢材や漆喰壁などの透湿性のある建材を使った方が良いと思います。2017年9月22日のブログで述べたように透湿性の乏しい防湿シートやビニールクロスはカビの培養地になり易いからです。

 

 

まぁ透湿性がなくてもセルロースファイバーで断熱すれば多少の結露は断熱層内で調湿してくれるので大きな問題はありませんが、せっかくの調湿機能が十分に生かすことができなくなります。

 

室内壁の表面にこれだけのシミがにじみ出るには、相当量の結露が壁の内側で発生していると思われます。

 

通気層が夏場の湿った外気を次から次へと運び冷房で冷えた室内壁の裏側に継続的に結露させている可能性があります。

以下の写真は今回の床下断熱施工の様子です。

①  

今回はトイレ、洗面所、押入れを含む床下全面にセルロースファイバーを吹き込んで断熱することに...

床下のコンクリート面まで約20㎝厚の空間があり、お施主様のご意向でコンクリート面から上に10㎝厚の通気層を設けてほしいとのことでした。

 

今回のセルロースファイバー吹込み施工は通気層の有用性の有無を考えさせられる良い機会を与えて頂きました。


 

画像の右下には床下コンクリート底面から10㎝上に張った不織布が写っています。その下は10㎝厚の通気層が確保されています。

 

画像の左側はコンクリート底面から20㎝上に位置する床面に不織布を張っているところです。

 

今回は、上記のように不織布を二重張りした10㎝厚の空間にセルロースファイバーを吹き込みました。

 

 

 

トイレと洗面所は床下にパイプ類が多いので不織布の二重張りは手間暇かけて行いました。

不織布を二重に張り終わったら奥の方からセルロースファイバーを密度55㎏/㎥厚み10㎝で吹き込み開始です。

 

不織布を踏み破らないように気を付けて吹込み作業を進めます。


セルロースファイバの吹込み作業が終わり、最後はしっかりお掃除です。

 

翌日早朝から床板を貼る作業が入るみたいです。

お疲れさまでした。

 

作業終了は午後7時をまわってました。