セルロースファイバーの限界? 愛が止まらない♪

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ブログテーマ「調湿、結露、防カビ、防虫で、セルロースファイバーの調湿性能を自信を持って喧伝してきた私ですが、あるお客様から最上階の北側壁内に吹き込んだセルロースファイバーが結露で湿った状態になっているとお聴きしてショックを受けました。

 

その方も、セルロースファイバーの大ファンで、3階建てのご自宅の壁や天井に5~10㎝の厚みでセルロースファイバーをご自身で吹き込まれたのですが、3階北側の壁内のセルロースファイバーが結露で湿った状態になっているとのことでした。

 

外壁サイディングの裏側は透湿防水シートのタイベックが張られていますが透湿しない外壁サイディングが直貼りされているので乾燥し辛いのですが湿った外気は透湿して壁内に侵入できます。

 

一方室内側も、室内壁石膏ボードにビニールクロスが貼られ透湿性ぜず乾燥し辛い状態だようようです。

なので、北側壁内のビニールクロスがドライ空調冷えでビニールクロスの裏側で結露し同黒須が剥がれたのでしょう。

その方は、ビニールクロスを剥ぎ乾燥を少しでも促進しようとしたそうです。

 

屋上裏の断熱が不十分だったがために長時間のドライモードで室内壁内が低温になり、湿気を帯びた夏の無尽蔵の外気が押し寄せ結露し、それを毛細管現象を有するセルロースファイバーが吸収し湿ってしまったのでしょう。

そして、乾燥速度が結露量に追いつかず、日光が当たらない北側壁内セルロースファイバーだけが乾燥できないで湿ったままなのだと思います。

 

お聴きすると、2×4材で組まれたFRP製屋上の天井裏には約10㎝の隙間しかなく、元々約5㎝厚のロックウールが張られていたので、隙間にセルロースファイバーを5㎝程度の厚みで吹き込んだとのことです。

 

ロックウールとセルロースファイバーによる約10㎝厚の屋上裏断熱では太陽の輻射熱を防ぐには不十分なので、湿気の溜まりやすい最上階なので冷房でなくドライと除湿器まで付けていたそうです。

ドライでも長時間の稼働は悪条件がそろうと過剰な結露が発生するようです。

 

その悪条件とは、透湿しない外壁(今回はモルタルサイディング)のコーキングされた繋ぎ目等の隙間から外気の湿気が無尽蔵に外壁壁内に押し寄せ結露が長時間にわたりタイベックシート室外側に発生したのでしょう。

 

結露は、透湿性のタイベックシートを通過して毛細管現象を有するコンフィゾーンのセルロースファイバーが吸収しますが、外壁が極端に乾燥し辛いと、セルロースファイバーと言えども結露で湿った状態になることを知り、私は正直ショックを受けました。

 

でも一方で、対応策を考える良い機会を与えて頂いたと感謝しました。

 

その対応策は、屋上裏のセルロースファイバー断熱層を20㎝以上の厚みにして、屋上裏天井に十分な透湿性を持たせればセルロースファイバーの気化熱効果で遮熱するので冷房・ドライは長時間付けなくても3階の窓を開けて扇風機の風で涼を取ることができます。

で、3階北側壁内セルロースファイバーの湿気は徐々に取り除かれる(乾燥して行く)でしょう。

 

雨と直射日光が部屋に入って来るような時は、窓やシャッターを閉めて「冷房」にすると直ぐ効いて

数時間の稼働で十分です。

上述のようにドライモードでも長時間の稼働だと壁内が冷え壁内で結露しますので、冷房・ドライの長時間稼働が要らなくなる屋根・屋上裏断熱が要だと思います。

 

部屋内の湿気はドレインで強制的に排出されるので、長時間の稼働時に結露が発生する「冷房」に対して「ドライ」の場合は壁が冷えても比較的結露し辛いと思います。

ただし、外壁裏の防水シートの隙間などから外気の湿気が侵入する可能性が大きいので、ドライモードでも長時間の稼働は禁物です。

 

更に、20㎝以上の厚みのある同セルロースファイバー層の上方に、通気層と2か所以上の換気スリットを設ければ、セルロースファイバーの乾燥は一層促進されると思います。

 

私の尊敬する故・山本順三先生が貴著の中で似たような問題提起をされていたのを思い出しました。

 

それは、鉄筋コンクリートの外壁と石膏ボードの内壁の間にセルロースファイバーを吹き込み、全く空気層を設けなくても室内壁の石膏ボードに十分な透湿性を持たせれば、セルロースファイバーは乾燥状態を維持できるのではないかとのことでした。

 

サイディング+透湿防水シートの外壁でも、サイディングのつなぎ目の隙間から外気の湿気が無尽蔵に侵入し結露する可能性が有りますが、コンクリートの外壁は湿った外気を通さないので、エアコンを長期間ドライモードで稼働するならば、湿度が低減するので冷えた石膏ボードの裏側に結露は発生しないと言うのでしょう。(湿度が低いと結露が瞬間的に発生しても直ぐ乾燥する)

 

でも私は、このショールーム兼自宅(屋根裏30㎝厚セルロースファイバー敷設)で暮らしている経験から、木陰程度の厚さの中で、窓を開けて扇風機で涼を取るのが一番気持ちいいと思います。

そして、それができる屋根・屋上裏をセルロースファイバーで20㎝以上断熱することをお勧めします。

 

追伸)セルロースファイバーが極端に乾燥できない環境でない限り冷房の稼働時間の長短はそんなに気にする必要はないこともあわせて述べておきます。

 

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コメント: 1
  • #1

    柳田洋子 (木曜日, 14 10月 2021 19:17)

    タイトル「セルロースファイバーの限界?」で誤解を招くと嫌なので補足のコメントをします。

    私のショールーム兼自宅は、屋根裏に30㎝程度のセルロースファイバーをフカフカの状態で吹き積もらせているのですが、昼の最高気温が36℃でどんなに暑い熱帯夜でも冷房を付けて寝たことはありません。

    そんな日は、窓を全開にして扇風機のタイマーを2時間ほどセットすれば直ぐに熟睡できます。
    つまり、一番肝心な屋根裏(屋上裏)をセルロースファイバーでしっかり断熱すれば、セルロースファイバーが吸った水蒸気が太陽の輻射熱を吸収・蒸散し、冷房を付けづに窓全開で扇風機の風だけで快眠できるので、長時間の冷房は不要で過剰な結露を心配する必要はないということです。

    確かに、最高気温が35℃以上になると昼間の数時間は冷房をつけることがありますが、その時セルロースファイバーが蓄えた水蒸気が冷房を切った後も気化して部屋を冷やし、夜は乾燥したセルロースファイバーが部屋の湿度を下げてくれるので、夜は扇風機の風で快眠できるのです。

    結露が発生する原理(冷えた表面に飽和して結露)を理解し、水蒸気の特性(輻射熱を吸収→夏は蒸散冷却/冬は蓄熱)を利用するならば、セルロースファイバーは、その調湿・蓄熱機能で室内環境を快適にしてくれる理想の断熱材というのが今でも変わらぬ私の確信です。